「ポジティブじゃなきゃいけないと思うこと自体が、一番しんどい」
「アファメーションをやればやるほど、虚しくなっていく」
「前向きな言葉を読むたびに、自分との差を突きつけられる気がする」
もしこの中にひとつでも心当たりがあるなら、
まず知ってほしいことがあります。
あなたの感じ方は、おかしくありません。
ポジティブ思考の落とし穴
「ポジティブに考えよう」
「前向きな言葉を自分にかけよう」
自己啓発の世界では、ポジティブ思考やアファメーション(肯定的な自己宣言)がよく勧められますよね。
「わたしは価値がある」「わたしは愛されている」と毎日唱えれば、自己肯定感が上がる、と。
でも、自己肯定感が低い状態でこれをやると、逆のことが起きます。
「わたしは価値がある」と唱えるたびに、心の奥から「いや、そんなことない」という声が返ってくる。
ポジティブな言葉と、自分が感じている現実とのギャップが広がって、かえって自分のダメさを実感してしまうのです。
たねくん
研究が示していること
これは感覚的な話ではなく、研究でも裏付けられています。
カナダの心理学者ジョアン・ウッドらの研究(2009年)では、自己肯定感の低い参加者に「わたしは愛すべき人間だ」と繰り返し唱えてもらったところ、唱える前よりも気分が悪化したという結果が出ています。
一方、自己肯定感がもともと高い人には、同じアファメーションがプラスに働きました。
つまり、アファメーションは「すでに自分をある程度肯定できている人」には効くけれど、「自分を肯定できていない人」にはむしろ逆効果になるということです。
必要なのは「もっとポジティブになること」ではありませんでした。
「有害なポジティブさ」という問題
近年、心理学の分野では「Toxic Positivity(有害なポジティブさ)」という言葉が注目されています。
これは、「どんなときもポジティブであるべき」という圧力が、ネガティブな感情を感じること自体を「悪いこと」にしてしまう現象を指します。
悲しいのに「前を向こう」
つらいのに「感謝しよう」
怒っているのに「許そう」
感情に良いも悪いもありません。
でも、「ポジティブであるべき」が正解になると、悲しみや怒りや不安を感じている自分は「間違っている」ことになる。
その結果、感情を抑え込み、表に出さなくなる。感じないふりをする。
これは感情の「処理」ではなく「抑圧」です。
抑え込んだ感情は消えるわけではなく、身体の不調や慢性的な疲労感として、別の形で表に出てきます。
ネガティブでいてもいい
ここで伝えたいのは、「ネガティブな感情を感じること自体は、まったく正常だ」ということです。
悲しいときに悲しいと感じる。
不安なときに不安だと感じる。
それは心が正常に機能している証拠です。
問題なのは、ネガティブな感情を感じることではなく、その感情を「感じてはいけない」と自分に禁じることです。
たねくん
では、代わりに何をすればいいか
ポジティブ思考の代わりに、ひとつだけ試してみてほしいことがあります。
今感じていることを、そのまま認めること。
「悲しい」と感じたら、「悲しいんだな」とだけ心の中でつぶやく。
「不安だ」と感じたら、「不安なんだな」と。
変えようとしない。否定しない。
ただ、「今こう感じている」と気づくだけ。
これはマインドフルネスの基本的なアプローチで、感情を「なくす」のではなく「観察する」という考え方です。
ポジティブに変換しなくていい。
感情はそのまま感じて、そのまま通り過ぎるのを待つ。
それだけで、感情に振り回される度合いは少しずつ変わっていきます。
まとめ
- 自己肯定感が低い状態でのアファメーションは、逆効果になることがある
- 研究でも、自己肯定感の低い人がアファメーションで気分が悪化することが示されている
- 「常にポジティブであるべき」というプレッシャーは、感情の抑圧につながる
- ネガティブな感情を感じること自体は正常であり、問題ではない
- 感情を変えようとするのではなく、そのまま認めることが第一歩
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