「殴られたわけじゃないけど、なんだか怖い」
「怒鳴られるのは私が悪いからなのかな」
「DVって、もっとひどいことを言うんじゃないの?」
そんなふうに感じて、自分の状況を「大したことない」と思おうとしていませんか?
あなたが「おかしい」と感じたその感覚は、とても大切なサインです。
DVは身体的な暴力だけではありません
DVと聞くと、殴る・蹴るといった身体的な暴力をイメージするかもしれません。でも実際には、DVにはさまざまな形があります。
身体的DV
殴る、蹴る、つかむ、物を投げる、押す、首を絞める——直接的な暴力です。「軽く叩かれただけ」と感じても、それがパートナーから恐怖を感じる行為であれば、DVに該当します。
精神的DV
大声で怒鳴る、人格を否定する言葉を投げる、無視する、行動を監視する、友人や家族との関係を制限する。目に見える傷は残らなくても、心に深い傷を残します。「お前がバカだから」「誰もお前なんか相手にしない」——こうした言葉は、れっきとした暴力です。
経済的DV
生活費を渡さない、お金の使い方を細かく監視する、働くことを禁じる。経済的な自由を奪うことで、相手の自立を妨げ、支配する行為です。
性的DV
パートナーであっても、望まない性的な行為を強要することはDVです。「夫婦(恋人)なんだから当たり前」ということは、決してありません。
「ケンカ」とDVの違い
健全なカップルでも意見がぶつかることはあります。でも、DVとの大きな違いは「対等かどうか」です。
- ケンカ:お互いに意見を言い合え、終わったあとに歩み寄れる
- DV:一方が恐怖を感じ、相手の顔色をうかがい、自分の意見を言えない
「怒らせないように気をつけている」「自分の気持ちを言うと何をされるかわからない」——そう感じているなら、それは対等な関係とは言えません。あなたの感覚は間違っていません。
こんなサインはありませんか?
- 相手の機嫌によって、家の中の空気がガラッと変わる
- スマホを勝手にチェックされる、行動を報告させられる
- 「お前のためを思って言っている」と、支配的な言動を正当化される
- 友人や家族に会うことを嫌がられる、制限される
- 些細なことで激しく怒られ、あとで「お前が悪い」と言われる
- 暴力のあと、急に優しくなり「もうしない」と約束する
ひとつでも心当たりがあるなら、それは「気のせい」ではないかもしれません。自分の感覚を信じてあげてください。
相談できる場所があります
「まだDVかどうかわからない」「相談するほどのことなのかな」——そう思っていても大丈夫です。相談窓口は、あなたの話をそのまま聴いてくれる場所です。判断を急がなくていい。まずは、話してみるだけでいいのです。
- DV相談ナビ:#8008(最寄りの相談窓口に自動でつながります)
- DV相談+(プラス):0120-279-889(24時間対応・電話/メール/チャット)
- 配偶者暴力相談支援センター:各都道府県に設置。一時保護や法的支援の情報も
- 警察:身の危険を感じたら、ためらわず110番を
- オンラインカウンセリング:自宅から安全に、専門家に相談できるサービスもあります
「相談窓口に電話するのはハードルが高い」と感じるなら、オンラインカウンセリングという方法もあります。カウンセラーはあなたの気持ちを否定せず、一緒に状況を整理してくれる専門家です。
安全のために今できること
すぐに環境を変えるのが難しい場合でも、できることはあります。
- 大切な書類(保険証、通帳、パスポートなど)のコピーを安全な場所に保管する
- 緊急時に逃げられる場所(実家、友人宅、シェルター)を事前に調べておく
- 信頼できる人に、今の状況を少しだけでも伝えておく
- 相談窓口の電話番号を、すぐに消せる形で控えておく
準備をすることは、逃げることではありません。あなた自身を守るための、大切な行動です。
まとめ
DVは身体的な暴力だけではありません。精神的、経済的、性的な支配も含まれます。「これくらいは普通」「自分が我慢すればいい」と感じていても、あなたが恐怖を感じているなら、それは普通ではありません。
あなたの感覚を、どうか大切にしてください。そして、ひとりで抱え込まないでください。話を聴いてくれる場所は、ちゃんとあります。