「最近、彼の話のつじつまが合わない」
「『どうしたの?』と聞いても、『べつに』『なんでもない』」
「もしかして、嘘をつかれてる?」
そう感じることが、何度もありませんか?
「嘘をつく彼」と一口に言っても、その奥にある心の動きは、ひとつではありません。
軽い見栄、自分を守るための沈黙、相手をコントロールするための嘘——どれも見た目は同じ「嘘」でも、彼の中で起きていることは違います。
この記事では、彼が嘘をつくときに何が起きているのかを、愛着研究の知見をもとに、3つの心の動きに分けて見ていきますね。
最後には、あなたが「信じるか、離れるか」を選ぶための、5つの判断軸もお伝えします。
「嘘つき彼氏」は、ぜんぶ同じタイプじゃない
「嘘」と呼ばれているものには、いくつもの種類があります。
たとえば、こんな分類。
- 言わない・最小化する嘘——本当のことを口にしないで、ごまかす
- 嫌われないための嘘——相手の機嫌を損ねないように、つくろう
- 支配するための嘘——あなたの認識をゆがめて、自分が優位に立とうとする
外から見るとどれも「嘘」ですが、彼の心の中で起きていることは、まったく違います。
そして、それぞれの嘘に対して、あなたができることや、選んだほうがいいことも、違ってくるのです。
つまり、「嘘をつかれた=終わり」ではないのです。
大切なのは、彼の嘘がどの種類で、どれくらいの頻度で、何を隠しているのか。
そこをしっかり見極めて、判断することです。
つたちゃん
でも、見極めは大事。
「健康な関係でも、嘘はゼロじゃない」という前提
「嘘=信頼関係が壊れている証拠」と思うと、すごく苦しくなりますよね。
でも、実際は少し違うのです。
誰でも嘘をついている
恋愛関係の嘘を1週間追いかけた研究では、親しい相手であっても、嘘は完全にはゼロにならないことが報告されています。
ただし、親密になるほど嘘の頻度は減っていくこともわかっています。
つまり、「嘘がゼロかどうか」より、「嘘が増えているのか、減っているのか」のほうが、関係の健康度を測るうえでは大事だということです。
嘘を見抜くのは、もともと難しい
「私はなぜ、彼の嘘を見抜けなかったんだろう」
そう自分を責めていませんか?
でも、これも安心してほしいのです。
嘘の見抜き方を調べた大規模な研究では、嘘を正しく見抜けるのは平均で54%ということが報告されています(206本の研究・約2万5千人の判定者のデータをまとめたもの)。
半数近くの嘘は、見抜けないのです。
だから、あなたが特別鈍いわけでも、騙されやすいわけでもありません。
人間の脳は、もともと「相手は本当のことを言っている」と信じることを初期設定にしているのです。
そうでないと、毎日の人間関係が成り立たなくなりますから。
「嘘つき」は、実はごく一部
日常で起きている嘘の多くは、ごく一部の「常習的に嘘をつく人」がたくさん出していることが、研究でわかってきています。
多くの人は、たまにしか嘘をつきません。
つまり、「嘘つき」と呼べるほど嘘が多い人は、実は限られた人だけなのです。
あなたの彼は、どちらのタイプでしょうか?
たまの嘘なのか、それとも常習的な嘘なのか。
そこを冷静に見ることから、次のステップが見えてきます。
彼が嘘をつく、7つの動機
次に、嘘の動機の話をしますね。
恋愛関係の嘘を体系的に調べたある研究では、約900人のデータをもとに、嘘の動機を7つに整理しています。
- 人を貶めるための嘘——相手を傷つけたり、利用したりするための嘘
- 注目を集めるための嘘——自分を大きく見せて、関心を引きたい
- 対立を避けるための嘘——喧嘩や面倒を起こさないように、つくろう
- 相手をなだめるための嘘——相手の機嫌を取り、安心させたい
- 失敗を隠すための嘘——自分のミスや弱さを見せたくない
- 自分の領域を守るための嘘——プライベートに踏み込まれたくない
- 性的な距離を取るための嘘——親密さに踏み込みたくないから、ごまかす
同じ「嘘をつく」でも、動機がまるで違います。
そして、この動機は愛着スタイル(人との距離の取り方のクセ)と深く結びついていると、研究では指摘されています。
ここからは、その「愛着スタイル」を軸に、3つの心の動きを見ていきましょう。
彼の嘘の心のしくみ① 回避型——「言わない・最小化する」嘘
ひとつめは、回避型と呼ばれる愛着スタイルの人がつく嘘です。
回避型の人は、親密さや自分の内面を見せることを、苦手に感じています。
だから、嘘の出方は、こんなふうになります。
- 「どうしたの?」と聞かれても、「べつに」「大丈夫」「考えてない」
- 本当はあったことを、「なんでもない」と言って終わらせる
- 感情を聞かれると、「わからない」と答える
- 自分の弱さや失敗を、なるべく言葉にしない
これは、いわゆる「最小化する嘘」「言わない嘘」です。
大げさな作り話というよりは、本当のことの「量」を減らすタイプの嘘ですね。
回避型の人は、研究でも自己開示が顕著に少ないことがわかっています。
つまり、嘘をついているというより、「本当のことを話さないことで、自分の心を守っている」状態に近いのです。
背景にあるのは、子どもの頃の体験です。
感情を出しても受け止めてもらえなかった、本音を言ったら否定された——そんな体験を重ねた人は、「本音を見せること=危険」と心が学習しています。
そして、大人になってからも、その回路が働き続けてしまうのです。
彼が回避型寄りなら、嘘の動機は「攻撃したい」ではなく「自分を守りたい」であることがほとんどです。
あなたを傷つけたいのではなく、自分の内側に踏み込まれることに耐えられない。
それが、結果として「ごまかし」や「沈黙」になって、あなたに伝わってしまうのです。
サボさん
「言えない」のほうが、近い感覚かもしれない。
彼の嘘の心のしくみ② 不安型——「失いたくない」嘘
ふたつめは、不安型と呼ばれる愛着スタイルの人がつく嘘です。
不安型の人は、相手に嫌われること・見捨てられることを、強く恐れています。
だから、嘘の出方はこうなります。
- 本当は不安なのに、「大丈夫、気にしてないよ」と言う
- 嫌われたくなくて、本音と違う「いい子」の答えを返す
- 「やめて」と言いたいのに、「全然平気」と笑ってしまう
- 相手の機嫌を取るために、話を盛ったり、言いつくろったりする
これは、「失わないための嘘」「波風を立てないための嘘」です。
自分の本音より、相手との関係を保つことを優先してしまうのです。
ある研究では、不安型の人ほど、不快な真実を相手に伝えるとき、「やわらかい言い方に変える」傾向があることがわかっています。
つまり、嘘というより、本音を「角の取れた形」に翻訳して伝えている状態に近いのです。
不安型の嘘は、悪意がないことが多いです。
むしろ、「あなたを大事に思っているからこそ、嫌われたくない」という心の動きから生まれます。
ただ、その嘘が積み重なると、彼自身も「自分が本当は何を感じているのか」がわからなくなっていきます。
相手に合わせた言葉ばかりを口にしているうちに、自分の本心の在り処が、自分でも見えなくなってしまうのです。
彼の嘘の心のしくみ③ 「平気で嘘をつく・ばれても認めない」しくみ
そして、3つめ。
ここは、少し重い話になりますが、大切なのでしっかりとお伝えしますね。
ごく一部の人に、「嘘をつくこと自体に、苦しさを感じない」傾向を持つタイプがいます。
ここまでお話ししてきた①回避型・②不安型の嘘は、本人も心のどこかで「うしろめたさ」や「苦しさ」を抱えていることがほとんどです。
でも、このタイプは違います。
嘘に罪悪感がない
普通、嘘をつくと心のどこかが少し痛みます。
でも、このタイプの人は、嘘をつくときに、むしろ「うまく騙せた」という快感のような感情を覚えることがあると、研究で報告されています。
嘘が、人を動かす道具として使われているのです。
戦略的・計画的に嘘をつく
「その場しのぎ」の嘘ではなく、自分の目的のために、計算された嘘を組み立てるタイプです。
関係を支配したい、あなたをコントロールしたい、自分の都合のいい状況を作りたい——そういう動機で嘘が使われます。
ばれても、認めない・むしろあなたを責める
「嘘だよね?」と指摘したとき、彼の反応はどうだったでしょうか。
もしこのタイプなら、彼は素直に認めずに、逆にあなたを責めることが多いはずです。
「考えすぎだよ」「お前がおかしい」「そんなこと言うのは信用してない証拠」——本来あなたが受けるはずだった「嘘をつかれた苦しさ」を、彼はあなたの問題にすり替えてくるのです。
これは、ガスライティングと呼ばれる手法です。
あなたの認識のほうを「おかしい」と再定義することで、あなたの自信そのものを少しずつ削っていく。
これが続くと、あなたは「自分の感覚を信じられない」状態になっていきます。
そして、このタイプの嘘は、浮気とも深く結びついていることがわかっています。
「人を傷つけても心が痛まない」「相手を利用することに罪悪感が薄い」といった傾向のある人は、嘘だけでなく浮気も繰り返しやすいことが、研究で報告されています。
嘘で人をコントロールする傾向と、平気で関係を裏切る傾向は、根っこでつながっているのです。
しおれちゃん
それは、もうあなたの問題じゃないかもしれない。
「信じる」か「離れる」かの判断軸——5つの問い
ここまで読んできて、「で、結局どうすればいいの?」と感じているかもしれませんね。
正解はありませんが、あなたが自分の答えにたどり着くための5つの問いを用意しました。
ゆっくり自分に投げかけてみてくださいね。
① 嘘のあと、彼は自分から訂正してくれていますか?
嘘をついたあと、しばらくしてから「ごめん、本当はこうだった」と自分から言える人と、絶対に認めない人がいます。
自分から訂正できる人は、彼自身の中に「嘘をついてしまったことへの居心地の悪さ」があります。
これは、変わっていける芽です。
逆に、指摘されてもごまかし続ける人は、嘘との距離感が遠すぎるサインかもしれません。
② 同じ嘘を、長く繰り返していませんか?
たまの嘘なのか、それとも、半年以上にわたって持続的に繰り返される嘘なのか。
研究では、半年以上にわたって反復的に嘘をつき続けるパターンは、性格的な傾向として根づいている可能性があると指摘されています。
「今回だけ」が何度も続いているなら、それはもう「今回だけ」ではないかもしれません。
③ 嘘を指摘したとき、彼はあなたを責めませんか?
「考えすぎ」「お前がおかしい」「信用してないってこと?」——あなたが嘘を指摘したときに、彼が逆にあなたを攻撃してくるなら、これは健康な関係のサインではありません。
嘘そのものより、指摘された後の反応のほうが、関係の質をよく表します。
④ 嘘の内容は、何に関わるものですか?
飲み会の参加メンバーや、ちょっとした遅刻の言い訳のような、小さな嘘もあります。
一方で、お金、他の女性の存在、生活基盤、あなたの安全に関わるような、重大な嘘もあります。
研究では、関係や生活基盤を脅かす嘘は、それが暴露されたときに、関係そのものを大きく揺るがすと報告されています。
嘘の重さを見てください。
⑤ あなたは、自分の感覚を信じられていますか?
これがいちばん大切な問いです。
彼の言葉を聞くたびに、「自分の感じ方のほうが間違っているのかも」と思うようになっていませんか?
もしそうなら、それはあなたが鈍くなったのではなく、あなたの自信が削られているサインかもしれません。
自分の感覚を信じられない関係は、続けるほどあなたが消耗していきます。
サボさん
ただ、君の感覚は、君の味方なんだよ。
あなた自身を守るために
最後に、あなた自身を守るための、小さな手当てをお伝えしますね。
- 「嘘を見抜く」より、「自分の感覚を信じる」:違和感は、たいてい正しいです。後から振り返ると、「あのとき、おかしいと思ってたんだ」と気づくことが多いものです。
- 嘘を「証拠」で詰めるより、「自分がどう感じているか」を主語にする:「あなたが嘘をついた」ではなく、「私は、信じられないと感じている」と伝えるほうが、相手の防御反応は和らぎます。
- 第三者に話す:友人や家族、それが難しければカウンセラー。関係の中にいると、視野は必ず狭くなります。外から見える景色を、誰かに渡してもらってください。
- ひとりだけで決めない:離れるか、信じるかは、大きな決断です。誰かの意見をそのまま聞く必要はないけれど、ひとりで抱えこむ必要もありません。
日本の調査では、心理的な攻撃を受けたことがある女性は約2割、命の危険を感じた経験のある女性は約1.5割と報告されています。
そして、そのうちの3人に1人以上が、どこにも相談していなかったこともわかっています。
あなたが抱えている苦しさを、ひとりで背負わないでくださいね。
よくある質問
Q. 嘘つきは、治るんですか?
これは、嘘の種類によります。
①回避型や②不安型の嘘は、本人が自分のパターンに気づき、安心して本音を出せる関係の中で、少しずつ変わっていく可能性があります。
一方で、③の「平気で嘘をつくタイプ」は、本人が変わろうとしないかぎり、変化は望みにくいと指摘されています。
「変わるのを待つ」より、まずは「彼が、自分のパターンに気づいているかどうか」を見てみてください。
Q. 嘘を指摘してもいいのでしょうか?
指摘していいです。
ただ、責めるためではなく、あなた自身の安心を取り戻すために。
「あなたが嘘をついた」と詰めるより、「私は、こう感じている」と伝えるほうが、相手の防御反応は和らぎます。
そして、指摘したあとの彼の反応を、よく見てください。
そこに、関係の答えが現れていることがよくあります。
Q. 嘘を見抜くコツはありますか?
正直、見抜くのはむずかしいです。
研究でも、嘘の見抜きの正答率は約5割程度。
よく言われているような「目を逸らした」「鼻を触った」のようなサインも、決定的な証拠にはなりません。
見抜くより、自分の違和感を信じることのほうが、ずっと正確です。
違和感は、たいてい後で正しかったとわかります。
Q. 私のせいで、彼が嘘をつくようになったのではないですよね?
違います。
彼の嘘のクセは、あなたと出会う前から、彼の中にあったものです。
子どもの頃の体験や、それまでの人間関係の中で、少しずつ作られてきた心のしくみなのです。
「私の聞き方がきつかったから」「私が安心させてあげられなかったから」という問題ではありません。
その問い自体を、そっと脇に置いてあげてくださいね。
ほとりちゃん
彼を理解しようとしてきたあなたのやさしさを、
今度は、あなた自身にも向けてあげてね。
まとめ
- 「嘘つき彼氏」と一口に言っても、心の動きはひとつではない。回避型・不安型・支配型の3つを区別して見る
- 健康な関係でも嘘はゼロにならない。嘘の見抜きは平均5割程度。見抜けないことで自分を責めなくていい
- 回避型の嘘は「言わない・最小化する」形。不安型の嘘は「失いたくない」形。どちらも本人にも苦しさがある
- 支配型の嘘には「罪悪感がない」「ばれてもあなたを責める」特徴。ガスライティングが起きていないか確認
- 「信じる」か「離れる」かの判断軸は5つ。なかでも「あなたが自分の感覚を信じられているか」が、いちばん大切
彼を理解しようとしてきたあなたの時間は、決して無駄ではありません。
そのやさしさが今度は、あなた自身の人生を、ちゃんと選ぶ力になっていきますよ。
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